老人ホームにおける湿度管理の重要性や適切な加湿方法について

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老人ホームなどの介護施設では利用者の体調管理が非常に重要と言えるでしょう。特に湿度は利用者の体調に直結する事柄なので、その管理には細心の注意を払う必要があります。

また、加湿設備の扱いを誤り、重大な健康被害に見舞われる可能性は否定できません。ここでは老人ホームなどの介護施設における、湿度管理の重要性についてお伝えします。

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病院や介護施設で湿度が重視される理由

病院や介護施設の利用者は病気や加齢などの理由で体力が低下しています。体調不良のきっかけになることから、施設の衛生管理は何よりも優先すべき重要事項と言えるでしょう。また、湿度についても同様ですが、これはウイルスの活性化が関係しています。

インフルエンザやコロナなど、強い感染力を持つウイルスは湿度が低いほど活発に動き回る性質があります。体力が低下し、発症のリスクが増大している人が乾燥した環境に留まるのは非常に危険と言えるでしょう。湿度が上がると空気中の水分が増え、ウイルスの動きを妨げます。

ウイルスが鈍くなるとそれだけ発症のリスクも低下するので、体力が少ない人でも安全に過ごすことができます。また、湿度と体感温度が密接な関係にあるのも無視できない事柄です。湿度が高い環境では汗が乾きにくくなり、それだけ体温も下がりにくくなります。

気温が低い環境でも人の体はわずかに汗をかきますが、湿度が高いことで汗が乾かず、体温が外部に放出されにくくなるのです。結果、実際の気温よりも暖かく感じるようになります。老人ホームなどの介護施設で湿度の管理が重視されるのは、感染と冷えの予防を目的としているためです。

加湿に関する注意点

老人ホームなどの介護施設は基本的に、加湿設備を作動させ続けています。空気が乾燥する冬季はもちろん、湿度が高い梅雨時でも加湿器を動かす施設は少なくありません。体力が少ない高齢者にとってウイルス感染は非常に危険なトラブルです。

加湿設備の作動は高齢者が安全に暮らす必須条件と言えるでしょう。しかし、加湿設備の使用による健康被害の可能性も無視できません。設備の中にカビが発生した状態で蒸気を拡散させると、カビの菌も同時に撒き散らすことになります。

カビの菌は肺炎などの重大な疾患を引き起こすので、加湿設備の衛生管理を軽視してはいけません。一方で管理が杜撰な施設では利用者の健康被害が起きやすいのも事実です。老人ホームへの入居は費用やケアの質はもちろん、加湿設備の扱い方も重要な選択肢と言えるでしょう。

老人ホームでの使用に適した加湿設備の選び方

加湿設備を選ぶ際は短時間で湿度を安定させることと、清掃が容易であることを重視します。老人ホームなどの介護施設は広い部屋が多いので、速やかに湿度を安定させることが重要です。加湿設備は基本的に大型な物ほど早く湿度を安定させられますが、一方でモーター音が大きいなどデメリットがあるのも事実です。

また、サイズが大きいと清掃に手間がかかることから、扱い方を考慮して選ぶように心がけます。近年ではおしゃれなデザインの加湿設備が売られていますが、給水タンクやノズルの形状によっては洗浄が難しい物もあるので注意しなければいけません。

機械を使わずに湿度を安定させる方法

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湿度を安定させるのは電動の加湿設備を用いる方法が一般的です。効率的に湿度を安定させるのは安定させられるのが利点ですが、設備の清掃や急な停電などの理由で使用できなくなる事態も考慮しなければいけません。利用者の体調管理が重視される老人ホームでは湿度の管理を軽視することはできないので、機械を使わずに湿度を安定させる工夫が求められます。

もっとも簡単な方法として知られているのが洗濯物の部屋干しです。衣類やタオルなどの洗濯物に含まれている水分が蒸発することで湿度が上がり、室内が乾燥するのを防ぎます。洗濯物の乾燥と両立できますが、常に必要なだけの洗濯物を用意できるとは限りません。

また、部屋干しによって洗濯物が生乾きの状態になり、悪臭が生じるなどのデメリットがあるのも事実です。吊るされた大量の洗濯物で部屋が狭く感じられるのも施設の利用者にとっては大きなデメリットと言えるでしょう。

水を入れたバケツに筒状の新聞紙を立て掛けるのも湿度を上げる方法です。水を吸い上げた新聞紙が乾燥することで徐々に湿度が上昇し、乾燥を防ぎます。洗濯物のように部屋が狭く見えるデメリットはありませんが、時間がかかるのも事実です。

広い部屋の場合はバケツを複数用意することになるので、手間がかかる点には注意しなければいけません。


体調管理は日頃からの観察が重要

老人ホームで湿度の管理が重視されるのは利用者の体調が湿度に影響されるためです。乾燥するとウイルスが活性化し、利用者が疾患に見舞われるリスクが増大します。

また、乾燥によって汗がすぐに乾いて気化熱が生じ、寒く感じてしまうのも大きな問題と言えるでしょう。体調を損なわない、快適な暮らしを営むためにも湿度を安定させるのは施設を管理する側の責務です。老人ホームを利用する高齢者はその多くが加齢によって体力が低下しています。

若い人よりも疾患に見舞われるリスクが高い状態なので、施設側は常に体調の良し悪しを把握しなければいけません。わずかな変化を見逃さないためにも、日頃から利用者の状態を入念に観察することが大切です。一方で利用者のプライバシーに配慮することも忘れてはいけません。

施設の利用者であってもプライベートな場は保たれるべきであり、体調の良し悪しを確認するためであっても無闇に立ち入るのは褒められる行いではないと言えます。体調管理の重要性を示しつつ、プライバシーも尊重することが施設側に求められる姿勢です。

加湿設備を適切に扱うことで利用者の体調が損なわれるリスクは大幅に減らすことができます。設備を導入する際は丈夫で長持ちすることはもちろん、お手入れが簡単で汚れが発生しにくい物を選ぶのが満足できる結果を得る条件と言えるでしょう。

適切な湿度管理が高齢者の健やかな暮らしに繋がる

老人ホームなどの介護施設を利用する高齢者はその多くが加齢によって体力が低下しています。疾患に見舞われるリスクが高い状態なので、ウイルスの活性化と関係が深い湿度の管理に細心の注意を払うのは当然と言えるでしょう。

お手入れがしやすく速やかに湿度を安定化させる加湿設備を用いることが高齢者の健やかな暮らしに繋がるのは紛れもない事実です。