工藤俊作さんの評価・レビュー

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ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)
伊藤 計劃
2010-12-08, 早川書房 (文庫), ¥ 756

まだ読み始めだが、間違いなく比類なき傑作と断言できる。しかもこの将来を読みきったように描いているのが恐ろしい。ストーリーの背景に描かれている社会とは似て非なる光景ではあるが、現在起きている震災とそれに影響された世相とも酷似している。探偵の考えはある意味主人公達と同様に、皆が同じ価値観を強制されることを恐れるし、多様性こそ生き物の強さであると。体制に嫌悪を感じるのはこのためか。但し、ここで象徴的に描写されている医療システムは、病気に犯されている方々にとって切望してしまう事だろう。過去の名作と同様に現在時点では未だに統制された社会、或はシステムと呼称するのが的確だろうが、その様なものなど何一つ出来ていないのだが。この作者は病床にて本書を執筆されたとの事であり他界されています。多分、これが絶筆となったのでしょう。黙祷。

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